若手の“転職したい”に、あなたが正解を出さなくても良い理由

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「部下から“転職を考えています”と言われました」

そんな報告を受けたとき、あなたはどう反応するでしょうか。
引き止めるべきか、黙って背中を押すべきか、それとも上司として何かを伝えるべきか。
――いろんな考えが一気に頭を駆け巡るかもしれません。

私たち管理職は、「その場で的確に対応すること」や「部下にとって正しい助言をすること」を求められる場面が多くあります。
だからこそ、“転職”という言葉を聞いた瞬間、つい「どう対処すればいいか?」という答え探しのスイッチが入ってしまうのも無理はありません。

でも、そんなときこそいったん立ち止まって考えてみてはどうでしょうか?
その言葉、本当に“辞めたい”という意味なのでしょうか?
そして――

その言葉をどう受け取るかが、あなた自身のマネジメントを問い直すチャンスになるかもしれません。


“転職”という言葉の奥にあるもの?

以前のセッションで、ある管理職の方からこんな相談を受けました。
「新入社員の女性から“転職を考えています”と言われて、正直、どう対応すればいいかわからなくなってしまいました」

この方は、これまで対話型のマネジメントを実践し、部下の主体性を引き出し、安心して意見を出し合えるチームづくりを地道に積み重ねてきました。
実際、とても良いチームビルディングができていました。

しかし、今回の新人にはこれまでのやり方が通用しませんでした。

一見すると明るく、ポジティブな印象で、コミュニケーションもきちんと取れているように見える――
けれど、どこか本気さが感じられず、常に薄い違和感が残る。
大きなトラブルがあるわけではないものの、時折、目立たないかたちで自己中心的な行動が見られることもありました。

そんな新人との関わり方に悩み始めていた矢先の“転職発言”だったのです。

これまでも難しい局面は何度もあったけれど、自分のマネジメントでなんとか乗り越えてこられた。
でも今回は通用しないのではないか――そんな迷いが、少しずつ心の中に生まれていたようです。

とはいえ、「これまでのやり方が通用しない」という感覚は、これまで積み上げてきた自分のマネジメントに対する小さな不信感を呼び起こすこともあります。

とくに対話型のマネジメントを実践している人ほど、
「関係性を築く」「対話する」「相手の成長を信じて関わる」といった原則を大切にしているからこそ、
うまくいかない相手と出会ったときに、「自分のやり方がズレていたのではないか?」という自責の思考に陥りやすいのです。

だからこそ、「接し方を変えれば解決するのでは」と考えるのは、ある意味とても自然な反応です。
けれどその視点は、相手に合わせようとするがゆえに、逆に自分の視野を狭めてしまうこともある。

この方も、「新人に対してどのように接すればいいのか?」という“接し方の修正”に意識が向いている感じがしました。
けれど、それだと関わり方の選択肢の幅が狭くなるように感じたので、

私は、視点を変えることが効果的だと思えたのです。

そこで私は、こう問いかけてみました。

「その“転職したい”という言葉、本当にそのまま受け取って良いと思いますか?」

もしかすると――
• 自分の存在を認めてほしいという“試し行動”
• 過度な期待への“抵抗”
• 職場に対する違和感を言語化できず、転職という言葉に置き換えている

そんな背景がある可能性もあります。
「転職したいです」は、単なる意思表明ではなく、“何かを伝えたい”というサインなのかもしれません。


正解探しより、問いの力を信じてみる

転職の意思を伝えてきた新人に対して、どんな言葉をかければよいのか。
どんな態度で接するべきなのか。
管理職としてその場に立たされたとき、私たちはつい「正しい対応」を探そうとしてしまいます。

でも、すぐに“正解”を出そうとすることが、かえって状況を見誤らせてしまうこともあります。

対話型のマネジメントを実践してきたこの方も、今回ばかりは、

「自分のマネジメントにどこか足りないところがあったのではないか」
「接し方をもっと変えた方がよかったのではないか」
そんなふうに“答え”を求め始めていました。

ですが、マネジメントにはそもそも正解がありません。
あるのは、その時々の相手に合わせた“問い”を持てるかどうかです。

とはいえ、正解を出したくなる気持ちは、とてもよくわかります。
上司という立場にあると、部下の不安を取り除くことや、スムーズに仕事が回るように整えることが求められます。
だからこそ、「何か言わなければ」「すぐに動かなければ」と感じてしまうのは、ある意味自然な反応です。

けれど、「正しく対応すること」ばかりに意識が向いてしまうと、
いつの間にか、“相手の言葉をどう受け取るか?”という問いよりも、
“自分がどう振る舞えばいいか?”という問いにすり替わってしまうことがあります。

問いを持つとは、「正解を探し続ける」ことではありません。

一度立ち止まり、その言葉の裏にある背景やサインを見つめる余白を持つこと。

それこそが、対話型マネジメントを実践する上での“本当の問い”なのだと思います。

たとえば今回のように、「転職したい」という言葉が出てきたとき、
それをそのままの意味で受け取って、“転職したい部下”への接し方を選ぶのか?
それとも、その言葉を何かしらのサインとして捉えたうえで接するのか?

どちらの姿勢で関わるかによって、見えてくる景色は大きく変わってきますし、
関わり方の選択肢の幅も、圧倒的に変わってきます。

人は、心の中で思っていることをそのまま言葉にできないこともありますし、
意図的に、違う言葉を発することもありますよね。

だから、言葉に反応することではなく、問いを持ち続ける意識をもつこと。

その問いが、次の一手を見つける力になります。


「見守る」という粘り強さ

今回のケースでこの管理職の方が選んだのは、すぐに何かを変えようとするのではなく、“見守る”という選択でした。

ただ、それは決して放置ではありません。
「社会人としてのルールに明確に反したときだけ指導する」
「必要に応じて人事部門にも状況を共有する」
――そうした対応策を冷静に整えた上で、“あえて踏み込まない”という判断をされたのです。

そしてもう一つ、大切にされていたことがあります。
それは、新人の成長を諦めないこと
感情を介入させすぎず、でも見捨てることなく、距離を取りながらも可能性に目を向け続ける。
その姿勢には、粘り強さと覚悟がありました。

けれど、「見守る」という選択は、言うほど簡単ではありません。
人間のもつ本当の力を信じたいと思う反面、

「本当にこのままでいいのか」「何か動いた方がいいのではないか」――
そんな葛藤が、心の中で何度も浮かんでは消えます。

ときには、周囲からの声がプレッシャーになることもあります。
「最近あの子、大丈夫なの?」「もっと声をかけてあげた方がいいんじゃない?」
そんなふうに言われると、
自分の静かな“見守り”の姿勢が、消極的に見えているのではと不安になる瞬間もあるでしょう。

でも本当は、「見守る」というのは何もしないことではなく、“すぐに動かない”という決断を続けること。
その裏には、手を出すことが自分の安心のためになっていないかという、内省と問いかけがあるのだと思います。

すぐに動くこと、すぐに言葉をかけることが「マネジメントらしさ」だと思い込んでしまうと、
“何もしない”ことは無責任に感じられるかもしれません。
そして、とくに自分が迷っているときは、「動く」ほうが自分が楽なことも、本当は多いと思います。

でも実は、問いを持ち続けながら見守ることこそ、最もエネルギーがいるマネジメントのひとつなのだと思います。


部下の「転職したい」は、上司の成長の扉

「転職したい」と口にする部下に、どう向き合うか。
それは単に、“引き止める or 見送る”という二択の話ではありません。

まず大前提として、転職は悪いことではありません。
部下には部下の人生があり、その時点でのベストな選択として転職を選ぶことも、当然あり得ることです。

けれど、その選択が正しいかどうかを判断することよりも、
上司として本当に大切なのは――

たとえそれがマネジメント側の要因ではなかったとしても、その言葉が発せられた“状況”に、どれだけ真摯に向き合えるかどうか

正解を出そうと焦るよりも、問いを持ち続ける。
すぐに動くのではなく、粘り強く見守る。
その姿勢が、部下の未来を信じることにもなり、同時に自分自身を育てることにもつながっていきます。

だからこそ、「転職したい」のように、一見会社側にはマイナスに聞こえる、
現状を大きく変えようとする部下の言葉は、

結果がどうなろうとも、上司自身の成長に向けた扉をノックしてくれているのかもしれません。

たとえ最終的にその部下が転職という選択をしたとしても、関わった時間が無駄になるわけではありません。

マネジメントは、“関係性の結論”ではなく、“関わったプロセス”そのものに価値がある。

上司の問い続ける姿勢は、部下の心に直接届かなくても、
その後の誰かとの関係、あるいは自分自身の在り方に、きっとつながっていくはずです。

その扉の前で、あなたはどんな問いを持ちますか?

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7,000回の対話をデザインし、組織を変革してきたビジネスコーチが語る、伝わるマネジメントの視点

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「うちの組織は風通しがいい」「心理的安全性のある組織を作っている」と言っているのに、実際には現場の意見が出てこない——そんな経験はありませんか?

また、「成長を促すマネジメントをしているつもり」が、実は部下にとって プレッシャー になっていることも。

多くのビジネスパーソンのコーチングをしていると、実はこうした話はとてもよく出てきます。

経営者や管理職の方をコーチングしていると、こんな声をよく聞きます。
✅ 「うちはオープンな組織だから、誰でも意見を言えるはずなんです。でも、現場は全然意見を言わないし、自立もしないんですよね。」
✅ 「成長の機会をたくさん与えているのに、なぜかチャレンジしようとしない。」
✅ 「フィードバックをしっかりしているのに、部下が受け身のままで困る。」

一方で、現場の社員さんをコーチングしていると、まったく逆のことを言われます。
✅ 「意見をどんどん言っていいって言われるけど、実際には言える雰囲気じゃない。」
✅ 「意見を出しても、結局いつも上の意見が通るから、言う意味がないんですよね。」
✅ 「自由にやっていいって言われるけど、失敗すると厳しく指摘されるから怖い。」

経営者や管理職の側は「オープンな組織を作っている」「心理的安全性を確保している」と思っている。
でも、現場の人たちは「いやいや、そんな空気じゃない」と感じている。

この 「マネジメントのズレ」 は、思っている以上に多くの職場で起こっています。
そして、このズレは 「経営者や管理職が悪い」「現場が受け身すぎる」 という単純な話ではありません。

多くの場合、そのズレは 「お互いの前提や考え方の違い」 から生まれます。

あなたがもし、「うちの上司のマネジメント、なんか違和感あるな」と感じたことがあるなら
それは、もしかすると 「自分自身のマネジメントにもアップデートの余地がある」というサイン かもしれません。

「うちの職場、こういうところがちょっとズレているかも?」

そう思いながら読み進めてみてください。

1. 「心理的安全性を作る」と言いながら、実は圧をかけている?

「うちはオープンな組織だから、誰でも意見を言えるはずなのに、なぜか現場が黙ってしまう」

そんな悩みを持つ管理職や経営者の方は多いです。

「意見を自由に言っていいよ」「上下関係なくフラットな議論をしよう」と言っているのに、なぜか 実際の会議ではほとんど意見が出てこない

なぜでしょう?

実は、「心理的安全性を作ろう」と意識すればするほど、逆に圧をかけてしまうことがある のです。

■ 「意見を言っていいよ」が、逆に沈黙を生む理由

例えば、ある会議の場面を想像してみてください。

マネージャーが部下にこう言います。

「今日は何でも自由に意見を出してほしい!遠慮はいらないよ!」

でも、部下は目を合わせず、誰も話そうとしない。
少し沈黙が続いた後、マネージャーはこう続けます。

「なんで誰も何も言わないの?せっかくオープンに話せる場なのに!」

すると、部下たちはさらに黙り込んでしまう。

この光景、あなたの職場でも見たことはありませんか?

これは、単に部下が受け身だからではありません。
むしろ 「意見を言っていい」と言われることで、逆にプレッシャーがかかってしまっている のです。

なぜなら、多くの職場では 「意見を言う=何か正しいことを言わなければいけない」 という空気があるから。
自由に意見を言っていいと言われても、上司がすでに考えを持っている場合、それに逆らうのはリスク だと感じるのです。

■ 「心理的安全性」を作るつもりが、実はコントロールしている?

もう一つ、よくあるケースがあります。

マネージャーが会議でこう言います。

「この新しいプロジェクトについて、みんなの意見を聞かせてほしい。」

部下たちは少し考えたあと、恐る恐る発言します。

「現場的には、少しスケジュールが厳しいかもしれません……」

すると、マネージャーはこう返します。

「でも、チャレンジしないと成長できないよね?」

「おお……」と微妙な空気が流れる。

別の部下が言います。

「現行の業務とのバランスを考えると、リソース的に難しいのでは……?」

すると、マネージャーは少し不機嫌な顔をして、こう返します。

「でも、他のチームは同じ条件でもやれてるよ?」

こうなると、もう 「意見を言っても、結局上司の考えが優先されるだけだ」 という空気になってしまいます。

結果、部下は次回から 「何を言っても意味がないから、黙っておこう」 となるのです。

■ 「意見を言っていいよ」の言葉だけでは、安全な場は生まれない

心理的安全性とは、単に「意見を自由に言えること」ではありません。
本当の意味で心理的安全な環境とは、「何を言っても否定されない」「意見を言ったことで不利益が生じない」 という安心感がある状態のこと。

「意見を言っていい」と言いながら、実は 「正しい意見」「上司が求める意見」を期待している ことはありませんか?

「本音を言っていいよ」という空気を作るつもりが、
実は「上司の考えに合うことを言わなければならない」と、部下に感じさせてしまっていることはないでしょうか?

もし、あなたの職場で「意見を言っていいのに、なぜか誰も言わない」状態が続いているなら、
それは 「心理的安全性の作り方」にズレがあるサインかもしれません。

では、どうすれば本当の意味で心理的安全性のある環境を作れるのか?
次の章で具体的に解説していきます。

2. 気づかないうちにマウントを取っているマネジメントの落とし穴

「部下の成長を促したい」
「せっかくの機会だから、挑戦してほしい」
「自分が学んできたことを伝えて、少しでも役に立てたら」

そんな 純粋な気持ち で、部下にアドバイスをしたり、フィードバックをしたりすることがあると思います。

でも、その “善意” のつもりが、実は部下にとっては「マウントを取られている」と感じることがある のです。

■ 「アドバイスのつもり」が、実はマウントになっている?

例えば、こんな会話を想像してみてください。

🌟 部下:「この仕事、結構難しいですね……」
👔 上司:「そうだよね。でも、私も昔は同じように苦労したよ。最初は大変だったけど、乗り越えたから今があるんだよ。」

一見、普通のアドバイスに見えます。
でも、部下からすると 「いや、今しんどいのはこっちなのに、過去の話されても……」 という気持ちになることもあります。

また、こんなケースもあります。

🌟 部下:「今のやり方だと、ちょっとやりにくいかもしれません……」
👔 上司:「うーん、でも他のチームはできてるよ?」

この発言も、上司の側からすると
「他のチームを参考にして、もっと工夫してほしい」 という意味かもしれません。
でも、部下の視点では 「結局、否定されてる」「意見を言っても意味がない」 と感じることが多いのです。

■ 「成長の機会を与えるつもり」が、逆にプレッシャーになることも

「機会を与えることは、部下のためになる」と考えている人は多いです。
でも、部下が「やりたい」と思っていないタイミングで、突然 「これはいい機会だから、チャレンジしよう!」 と言われるとどうでしょう?

✅ 「せっかくのチャンスなんだから、やったほうがいいよ」
✅ 「この機会を逃すのはもったいないよ」
✅ 「成長するためには、こういう経験が必要だからね」

上司側の意図としては 「背中を押してあげたい」 なのですが、部下からすると 「断れない圧がある」「プレッシャーをかけられている」 と感じることもあります。

実際に、こういったケースの後で、部下からこんな言葉を聞くことがあります。

💬 「やれって言われたからやるけど、本音はやりたくなかった」
💬 「結局、成長って言いながら無理を強いられてるだけじゃない?」
💬 「上司が成長させたって自己満足になってるだけかも」

こうなると、せっかくの「成長の機会」も、部下にとっては 「上司の押しつけ」 に感じられてしまいます。

■ 「私はあなたのためを思って言ってる」が、実はNGな理由

上司が「部下のために」と思って言う言葉の中には、 実は相手の行動を制限するフレーズ が多く含まれています。

例えば、こんな言葉を使っていませんか?

❌ 「この業界では、こういうのが当たり前だからね」
❌ 「私の経験上、これが一番うまくいくやり方だよ」
❌ 「私はこうやって乗り越えてきたけどね」

もちろん、これらの言葉には 悪意はまったくない と思います。
むしろ 「役に立ちたい」「部下に成功してほしい」 という思いが込められているはずです。

でも、これらの言葉は 「部下の視点を否定する」「上司の経験が絶対だと示してしまう」 ことにつながるのです。

上司の「こうすべき」は、部下の「こうしたい」を奪ってしまうことがある。

このズレが、気づかないうちにマウントを取ってしまう構図 を作り出してしまいます。

■ 「正しいことを言っているのに、なぜか部下が反発する」理由

「でも、私は間違ったことを言ってるわけじゃないのに」
「実際に、これが正しいやり方だから伝えてるんだけど」

そう思うこともあるかもしれません。

でも、大事なのは 「正しいかどうか」ではなく、「相手がどう受け取るか」 です。

例えば、こんな場面を考えてみてください。

👔 上司:「〇〇さん、最近ちょっと仕事の進め方が遅いね。効率を上げる工夫をしたほうがいいよ。」
🌟 部下:「(そうか……自分はダメなんだ……)」

上司は「仕事を改善してほしい」という意図で言っています。
でも、部下は「自分は能力が足りない」と感じてしまう。

つまり、「正しいことを言っているかどうか」よりも、「相手がどう受け止めるか」 のほうが重要なのです。

もし、部下があなたの言葉を「マウントを取られた」と感じたなら、
それは 「正しいアドバイスが間違った形で伝わってしまった」 というサインかもしれません。

■ どうすれば「気づかないマウント」を防げるのか?

「気づかないうちにマウントを取る」ことを防ぐためには、
まず 「自分の経験や考えを押し付けていないか?」を振り返ること が大事です。

その具体的な方法については、次の章で詳しく解説していきます。

3. 伝わるマネジメントを実践するための3つの視点

「じゃあ、どうすればいいの?」
ここまで読んできた方は、そう思っているかもしれません。

「心理的安全性を作るつもりが、実は圧をかけていた……」
「アドバイスや機会提供が、マウントになっていたかもしれない……」

でも、だからといって 「何も言わない」「関わらない」 では、マネジメントとしての役割を果たせません。

実は、「押し付けるマネジメント」と「放任するマネジメント」の間には、もう一つの選択肢がある のです。

それが 「伝わるマネジメント」 です。
では、具体的にどうすればよいのか?
ここでは、実践しやすい 3つの視点 を紹介します。

① 「意見を言っていいよ」ではなく、「どう考えてる?」と聞く

多くの管理職や経営者が、「意見を言いやすい環境を作るために」こんな言葉を使っています。

✅ 「何でも自由に意見を言っていいよ!」
✅ 「オープンな場だから、どんどん発言して!」

でも、これは部下からすると 「何を言えばいいのかわからない」 ことが多いです。

では、どうすればいいか?
実は、「意見を言っていいよ」よりも、「どう考えてる?」と聞くほうが、圧倒的に意見が出やすくなる のです。

例えば、こんな風に聞いてみると、部下は意見を言いやすくなります。

✅ 「この企画、どこがリスクになりそう?」
✅ 「この施策をやるとしたら、どこが課題になりそう?」
✅ 「実際にやる側として、何か違和感を感じる点ある?」

このように 「具体的な質問を投げる」 ことで、部下は安心して意見を言えるようになります。

また、「どう思う?」と聞いたあとに 「なるほど」 と一言添えるだけでも、部下の話しやすさは大きく変わります。

② 「私はこう思う」よりも、「どうしたらうまくいくと思う?」

これは、「意見を引き出す方法」ともつながるポイントです。

例えば、部下が仕事のやり方について相談してきたとき、
つい 「私の経験上、こうやったほうがいいよ」 と言ってしまうことはありませんか?

これは、決して悪いことではありません。
ただ、「正解を先に示す」と、部下は 「自分で考える余地がない」 と感じてしまうことがあります。

では、どうすればいいか?
ポイントは、「正解を言う前に、まず部下の考えを聞くこと」 です。

🌟 部下:「この業務、どう進めるのがいいですか?」
👔 上司:「どうしたらうまくいくと思う?」

これだけで、部下は 「あ、自分の考えを言ってもいいんだ」 と感じます。

その後で、「なるほど、それならこういう視点もあるかもね」と補足すると、押し付けではなく、アドバイスとして受け入れやすくなる のです。

③ 「経験談を話す前に、相手の話を聞く」

上司として、「自分の経験を伝えること」はとても大事です。
でも、部下が何を考えているかを聞かずに経験談を話すと、相手にとっては「押しつけ」に聞こえてしまう ことがあります。

例えば、こんな会話になっていませんか?

🌟 部下:「この仕事、ちょっと難しいかもしれません……」
👔 上司:「私も最初はそう思ったけどね。でも、やってみると意外とできるものだよ!」

上司としては「励まし」のつもりかもしれませんが、
部下にとっては「いや、今しんどいんだけど……」と思ってしまうこともあります。

では、どうすればいいか?

ここで使えるのが、「経験談を話す前に、まず部下の気持ちを受け止める」 というアプローチです。

✅ 「そうなんだ、どこが難しいと感じてる?」
✅ 「なるほど、どの部分が一番大変そう?」
✅ 「やり方の問題? それとも時間が足りない感じ?」

こうやって 「相手の視点を知る」 ことができると、
自分の経験を伝えるときも 「ピンポイントで役立つ話」 をすることができます。

つまり、「まず聞く → それから話す」 という順番を意識するだけで、
経験談が 「押しつけ」ではなく、「助言」 に変わるのです。

まとめ:「伝わるマネジメント」を進化させるために、まず何をする?

もし、あなたが 「部下の意見が出てこない」 と感じていたり、
「成長の機会を与えているのに、なぜか部下が動かない」 と思ったことがあるなら、

それは 「マネジメントを進化させるタイミング」 かもしれません。

まず最初に、今日からできる3つのアクション

💡 「伝わるマネジメント」を進化させるために、最初の一歩として試してみてほしいこと

✅ ① 意見を求めるとき、「どう思う?」ではなく「どこが課題になりそう?」と聞いてみる

→ より具体的な問いを投げることで、部下が考えやすくなる

✅ ② アドバイスをする前に、一呼吸おいて「君はどう考えている?」と聞いてみる

→ いきなり自分の経験を話すのではなく、部下の考えを引き出す習慣をつける

✅ ③ 1on1やミーティングで、「私はこう思うけど、他に良い方法はあるかな?」と投げかける

→ 「上司の意見が絶対」ではなく、「一緒に考える姿勢」を見せることで、心理的安全性が高まる

■ 小さな実践が、大きな変化を生む

マネジメントを進化させるのに、大きな改革は必要ありません。
「伝え方を少し変える」だけで、部下の反応が変わり、組織の空気が変わることもあります。

「私はもう現代的なマネジメントを理解している」と思っていても、
ちょっとしたズレが、コミュニケーションのすれ違いを生んでいることもある。

だからこそ、「伝わるマネジメント」を意識して進化させる ことが大事です。

■ あなたのマネジメントを、次のステージへ

これからの時代、リーダーに求められるのは 「指示する力」ではなく、「相手の主体的な考えと自発的行動を引き出す力」 です。

あなたのマネジメントが、ただの「伝えるマネジメント」ではなく、
「伝わるマネジメント」へと進化することを願っています。

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『役職は貸し衣装』という考え方が自律型の強い組織をつくる理由

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1. はじめに:役職はゴールではなく道具である

「役職は貸し衣装」とある管理職のクライアントさんのコーチングセッションをしている時に出てきた言葉です。
これは、役職は一時的に与えられるものであり、それを使って何を成し遂げるかが重要だという考え方です。日本企業では、55歳前後で役職を退く「役職定年制度」を設けている企業が少なくありません。しかし、役職を自分の価値と誤認してしまうと、定年後にモチベーションが低下し、組織全体の活力が失われる可能性があります。
最近では役職定年制度を廃止する企業も増えてきています。この背景には、労働力人口の減少や経験豊かなシニア人材の活用といった課題があります。特に、年齢に関わらず実力や成果で評価する動きが強まっており、役職定年制度の見直しが進んでいます。
コーチングを通じて多くの企業の支援をしていて感じるのは、これらの理由に加えて、役職定年を迎えた方達のモチベーションの低下も役職定年制度廃止の流れの理由になっていると感じます。
本来、役職定年制度には次世代リーダーの育成や組織の新陳代謝を促進するというメリットがあります。新しい視点や発想を取り入れ、組織全体の活力を維持するための仕組みとして導入されてきました。

2. 役職に依存するリーダーのリスク

役職に依存するリーダーには、次のようなリスクがあります。

2-1. 指示待ち部下の増加

役職者が立場を利用して「自分の言うことを聞かせる」姿勢で部下と向き合うと、部下は指示を待つ受動的な姿勢になりがちです。自分で考え、行動する文化が育たず、イノベーションの芽が摘まれてしまいます。

2-2. 役職定年後のモチベーション低下

役職を「自分の価値」と捉えてしまうと、定年後に役割を失ったと感じ、自己肯定感が低下します。その結果、組織への貢献意欲が減退する可能性があります。

2-3. 部下の成長機会の減少

本来のリーダーシップを発揮できていない役職者が自己承認のために業務を抱え込むと、部下が成長する機会が失われ、次世代のリーダー育成が遅れてしまいます。

3. 貸し衣装としての役職を受け入れるメリット

では、役職を貸し衣装と捉えた場合、つまりは役職は自分自身ではなく組織やチームをより良くするためのもので、自分はその道具を預かっているのだという捉え方をした場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

3-1. 自分の強みや経験をフル活用できる

「役職を任された今、自分には何ができるのか?」と考えることで、主体的に行動する意識が芽生えます。役職という「道具」を使って、組織に価値を提供しようとする姿勢が生まれるのです。

3-2. 組織への貢献意識の向上

役職を道具として捉えれば、「役職がなくなった後も組織に貢献できることは何か?」と考えるようになります。その結果、役職定年後も社内外で活躍する人材が育つ可能性が高まります。

3-3. 自律的な組織文化の醸成

役職に依存しないリーダーシップを持つ人材が増えると、役職に関係なく意見を出し合い、挑戦する文化が育ちます。組織はより柔軟で成長志向の強いチームへと進化します。

4. 役職に依存しないリーダーシップを育む4つのアプローチ

役職に依存しないリーダーシップを育てるためには、例えば次の4つのアプローチが効果的です。

4-1. 「役職は期間限定のミッション」というマインドセットを浸透させる

役職は「組織から託されたミッション」であり、永遠のものではありません。研修やコーチングを通じて、「任期中に何を成し遂げるか」を考えさせる機会を設けることが大切です。

ワークショップ例

  • 自分の役職があと1年で終わるとしたら、何を優先するか?

  • その役職を引き継ぐ後継者に何を伝えたいか?

4-2. 「ミッション評価制度」を導入する

上席と協議をして自分の役職のミッションを定義し、進捗や成果を定期的に振り返る評価制度を導入します。これにより、役職期間中の成果が可視化されるだけでなく、役職後もその経験が次のステージで活かされる基盤が作られます。

  • 評価のポイント例:

    • 役職期間中にどのような組織的変化を促進したか

    • 部下の成長をどのように支援したか

    • 役職後に引き継ぐべき知見や成果物をどのように残したか

4-3. 後継者育成の「貸し衣装試着体験」を設ける

若手リーダーに、プロジェクトリーダーや重要な会議での発表を任せる機会をつくり、「役職体験」を提供します。仮の役職でも、実際にその役割を経験することで、自分のリーダーシップスタイルや強みが見えてきます。

4-4. 「貢献の可視化」、「失敗を許容する文化」「チャレンジを称賛する文化」を育てる

役職の有無に関わらず、組織に貢献した人を称賛する文化を育てます。加えて、挑戦した結果の「失敗」も成長のための重要な経験として認め、許容する文化を醸成します。

具体的な取り組み例:

  • チャットツールでの「いいね」機能を活用して、成功事例だけでなく、挑戦したプロセスを共有し称賛する。

  • 社内表彰制度を見直し、チャレンジ精神を発揮した取り組みを積極的に表彰する。

  • 失敗談を共有する「チャレンジミーティング」を定期開催し、挑戦しやすい心理的安全性を確保する。

5. 役職定年制度を超えたリーダーシップの可能性

このような取り組みを通じて、社内のリーダーシップが醸成されれば、そもそも「役職定年制度」が導入された理由である 次世代リーダーの育成組織の新陳代謝の促進 といったメリットが自然に達成されます。

一方で、役職定年制度を廃止する企業が増えている背景には、経験豊かなシニア人材の活用役職定年を迎えた方たちのモチベーション維持・向上 という目的があります。

こうしたアプローチにより、役職定年制度を維持する企業 であっても、廃止を選んだ企業 であっても、組織の活性化や人材の成長促進といった共通のメリットを享受できると考えられます。

6. まとめ:役職を超えて、組織に何を残すか

役職は「貸し衣装」みたいなものです。着ている間は、その道具を最大限に活用し、組織に貢献する。その意識が、リーダー個人の成長につながり、組織全体を強くします。

役職という道具は、「自分が何を得るか」ではなく、「何を組織に残せるか」を考えるためにあるものです。これを「貸し衣装」として受け取り、期間限定のミッションに全力で取り組む姿勢が、リーダーの本質的な力を育みます。

また、役職定年制度を維持する企業 にとっても、廃止を選んだ企業 にとっても、リーダーシップ醸成の取り組みは重要です。役職を「貸し衣装」という道具と捉え、その期間を最大限活用する意識があれば、制度に関係なく組織は成長していくでしょう。

こうした個々の意識変化が、結果として組織全体の柔軟性や主体性を高め、強い組織を育むことにつながるのです。

あなたが「貸し衣装」という道具を脱ぐとき、どんな価値を組織に残しますか?

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年上部下と年下管理職の関係構築3つのポイント

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みなさんこんにちは
ビジネスコーチたかぎけんじ です
いつもお読みいただいてありがとうございます

毎日コーチングセッションを通じて
沢山のビジネスパーソンとお話をしています

先日ある管理職の方とお話をしている時のこと
年上の部下との関係性の構築にご苦労されている
と言うお話がありました

社会の高齢化が進み
定年が延長されたり
再雇用制度が導入されたりする中で
組織の活力を保つために若手の登用をすすめると
どうしても管理職よりもメンバーの方が
年齢や社歴が上と言う場面がうまれます

こうした時に
経験豊富な年上部下が
なかなか年下 管理職の指示通りに動いてくれない

年下管理職が
年上部下と上手くコミュニケーションを取れない
と言う悩みを抱えている

なんて話をちらほら聴いたりします

今日は、ビジネスコーチ的
年上部下と年下管理職の関係構築3つのポイント
についてお伝えします

年上部下との関係性に悩んでいる年下管理職の方や
部下とコミュニケーションに課題感を感じている管理職の方
それから
自分にはない専門性を持った部下との業務の進め方に課題を感じている管理職の方も
ぜひ今日のお話し最後まで読んでみてくださいね

今日のお話を動画で見たい方はこちらから

それでは、参りましょう!

冒頭お伝えした様な
年上部下との関係に悩んでいる
管理職さんの相談を受けることが
最近はとても多くなりました

こうした部下との関係性の構築が上手くいかない時の原因になりやすいのが
部下の方がある分野に関して
上司よりも豊富な経験値や
スキルセットを持っていること
ではないかと思います

今日は
こんな時に効果的な部下とのコミュニケーションのポイントを3つお伝えします

年上部下と年下管理職の関係構築3つのポイント
その3つとは
1.チームのありたい姿の共有
2.部下のスキルセットや経験値の高い分野で協力をあおぐ
3.部下からのフィードバックをもらう

この3つです

それでは具体的にお伝えしていきましょう

まずひとつめ
1.チームのありたい姿の共有
です

まずは自分が管理している組織が目指すところを
具体的に共有していきましょう。

具体的がポイントです
売上が何億とか利益率が何%
と言うのも大切ですが

ここでは
「今期自分のチームをどんな組織にして行きたいか」
を共有することを意識しましょう

あるクライアントさんは以前
「家族の様なチームにしたい」と
おっしゃっていました

「部活の様なチーム」とおっしゃっていた
クライアントさんもいらっしゃいました

例えば先ほどの「家族の様なチーム」だとしたら
それをさらに詳しく言葉にしていきます

ひとりひとりのチャレンジを皆んなが応援してくれる
とか
困った時はなんでも話せる、とか

それぞれのメンバーに
母親的役割、父親的役割、兄的、姉的
どんな立ち位置を期待できるかを
言語化して伝えて行くと良さそうです。

もし
「部活の様なチーム」だったら
メンバーひとりひとりの
ポジションを想定しても良いかもしれませんね

もし年上部下の方が
管理職経験のある方なら
「家族の様なチーム」を目指す事を伝えた上で
メンバーの役割については
助言を仰いでもいいかもしれません

こんなふうにして
あなたが目指すチームの姿を具体的にして
メンバーと共有しましょう

メンバーと共通言語ができるので
コミュニケーションがしやすくなるはずです

年上部下と年下管理職の関係構築3つのポイント
ひとつめは
1.チームのありたい姿の共有
でした

次に二つめ
2.部下のスキルセットや経験値の高い分野で協力をあおぐ

年下の上司についた年上部下は
もしかしたら無力感を感じたり
自己肯定感を損ったりしているかもしれません

管理職を解かれてメンバーになっていれば
その可能性は一層高いですよね

もちろん管理職ではなくなったのですから
手放して頂かなくてはいけない事はあります

ですが、年上部下が持っている
経験値やスキルセットの多くは自分のチームが目標を達成していくために
役立つもののはずです

それを、どう引き出してチームの成果につなげていくかは
管理職の腕の見せ所ですよね

こういったときに効果的なのが
年上部下に年下管理職が協力をあおぐ
ということです。

ひとつ目のポイントでお伝えした
「チームのありたい姿を共有する」ことができていれば
あとは、協力を仰ぐだけです

年上部下の方にこういってみてください
「わたしに力を貸してください」

そうすることで
年上部下の方も自分の経験値やスキルセットが
役に立てるところがあるということを認識できるので

無力感を取り除いたり
自己肯定感を回復させたりすることが
出来やすくなります

年上部下と年下管理職の関係構築3つのポイント二つめは
2.部下のスキルセットや経験値の高い分野で協力をあおぐ
でした

年上部下と年下管理職の関係構築3つのポイント
最後3つ目です
3.部下からのフィードバックをもらう

年上部下と
1、チームのありたい姿の共有
2、部下のスキルセットや経験値の高い分野で協力を仰ぐ
の2つを始めたら、次に定期的に年上部下からフィードバックをもらう時間を作りましょう

お互いに言葉で伝えていることと
お互いの行動がイメージ通りになっているかどうかの
確認と軌道修正をするフェーズですね

言葉だけのコミュニケーションでは
お互いが持っている言葉の定義や
言葉のイメージのずれなどから

双方が期待と行動が合致しない場面が出てくることが起こりますので
それの認識合わせをして
必要に応じてお互いの行動を軌道修正しましょう

年上部下と年下管理職の関係構築3つのポイント
三つ目は
3.部下からのフィードバックをもらう
でした

おそらく、この動画を見ていただいている多く管理職の方は
年上部下とコミュニケーションをより多く取った方が良い
と言うことは、なんとなく理解されていると思います

ですが、年長者の方とどんなふうにコミュニケーションを
とって良いかがなかなかイメージをつかみにくい方も多いと思います

今日、お伝えした3つのポイント
1.チームのありたい姿の共有
2.部下のスキルセットや経験値の高い分野で協力をあおぐ
3.部下からのフィードバックをもらう
と、やることが具体的になっているときっと年上部下の方とのコミュニケーションが
取りやすくなると思います。

経験豊富な年上部下が
なかなか年下 管理職の指示通りに動いてくれない

年下管理職が
年上部下と上手くコミュニケーションを取れない
と言う悩みを抱えている

という管理職の方はぜひ
今日のお話試してみてくださいね

今日のお話を動画にしました
https://youtu.be/waARiA_B14s

ぜひ動画でおさらいしてみてください!

それでは、今日はここまでにします
今日も最後までお読みいただいてありがとうございました。

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