失敗したあとの、整理のしかた

1.はじめに

仕事で失敗した日。
家に帰っても、頭の中がなかなか静かにならないことがあります。

「あそこで、ああ言わなければよかった」
「みんなに迷惑かけちゃったかな」
「次に同じ仕事が来たら、うまくできるだろうか」

反省しようとしているのに、
気づくと気持ちばかりがぐるぐる回ってしまう。
そんな経験がある人は、きっと少なくないと思います。

多くの場合、つらくなる原因は
「失敗したこと」そのものではありません。
失敗をきっかけに、
• 感情
• 事実
• 人からの評価
• 次に取るべき行動

が、頭の中で一気に混ざってしまうこと。
この“混ざった状態”が、気持ちを重くし、行動を鈍らせます。

だから、ぼくは
いきなり前向きになろうとしたり、
がんばって反省したりする必要はないと思っています。

まずやるのは、
今、何がごちゃっとしているのかを分けることです。

ぼくは、コーチングセッションで
クライアントさんの整理をお手伝いするときに、
よくやる整理のしかたがあります。

正解を見つけるというより、
一度、足場を整え直すための話。
そんな感覚で読んでもらえたらと思います。

2.多くの人が、一気にやろうとしてしまう

失敗したあと、多くの人がやろうとするのは、
「ちゃんとしようとすること」です。

• 反省しなきゃ
• 次は失敗しないようにしなきゃ
• 同じことを言われないようにしなきゃ

おそらくこれは、
現代社会に生きる
ぼくたち人間の自然な反応なのだと思います。

そして、このタイミングで
いろいろなものを一度に片づけようとする
人が多いようです。

気持ちの整理も、
周囲への印象の回復も、
次の対策も。

頭の中で、それらを全部まとめて処理しようとすると、
考えているつもりなのに、
前に進めなくなっていきます。

感情が動いている状態で、
事実を正確に振り返ろうとする。
周囲の反応を想像しながら、
次の行動を決めようとする。

この状態では、
それがどんな出来事だったのかも、
次に何をすればいいのかも、
輪郭がぼやけたままになりやすい。

その結果、

• 反省しているのに、同じところをぐるぐる回る
• 対策を考えたはずなのに、自信が持てない
• 仕事に戻るのが、なんとなく怖くなる

のような感覚が残りがちです。

みんな十分に頑張っているのに、
前に進む歯車に噛み合っていない。
そんな感じになってしまう。

だから、次の章では、
この「一気にやろうとしてしまう状態」をほどくために、
まず何を分けて考えるのか。
その整理のしかたを、順番に書いていきます。

3.まず分けるのは、この4つ

ここまで読んで、
「じゃあ、何をどう分ければいいのか」
と思った人もいるかもしれません。

ぼくがコーチングセッションで
整理をお手伝いするとき、
まず分けているのは、だいたい次の4つです。

• 感情
• 出来事
• 周囲の反応
• 次の一手

ポイントは、
順番に扱うこと
同時にやらないことです。

① 感情

最初に分けるのは、感情です。

悔しい、申し訳ない、焦る、不安。
失敗のあとには、いろいろな感情が出てきます。

ここでは、
落ち着かせようとしたり、
前向きになろうとしたりする必要はありません。

「今、こう感じているんだな」
と、いったん横に置くだけでいい。

感情は、扱おうとすると絡まりますが、
分けて置くだけで、
次の整理がしやすくなります。

② 出来事

次は、出来事です。

評価でも、反省でもなく、
起きたことを、そのまま切り出す
• 何が起きたのか
• どこまで進んでいたのか
• どこで止まったのか

ここでは、
「なぜそうなったのか」は考えません。

出来事を、
感情や意味づけから一度切り離しておく。
それだけで、輪郭が少しはっきりしてきます。

③ 周囲の反応

三つ目は、周囲の反応です。

ここも、想像と事実を分けます。

• 実際に言われたこと
• 実際に起きたやりとり

と、

• こう思われているかもしれない
• 迷惑だと思われたかもしれない

は、別のものです。

反応を分けて見ていくと、
自分の中でふくらんでいた話が、
少し現実サイズに戻ってくることがあります。

④ 次の一手

最後に、次の一手を考えます。

完璧な対策や、
二度と起きない仕組みを考える必要はありません。

必要なのは、
理想の状態に向かう、
セッションが終わったらすぐにできるくらい小さな一歩です。

本当に小さくていいんです。
顔を洗うとか、
コーヒーを入れるとか。
それくらいの大きさでいい。

そのかわり、
あなた自身が
「いま、理想の状態に向かっている」
と感じられる一歩であること。

この4つを、
順番に、別々に扱う。

それだけで、
頭の中の混線は、だいぶほどけていきます。

実際のところは、
ぼくは、こんなにきれいに分けて
質問しているわけではありません。

でも、話しているうちに、
みなさん、整理されていきます。

5.まとめ

ここまで、
失敗したあとに起きやすいことと、
そのときの整理のしかたについて書いてきました。

大きな答えや、
万能な対策があるわけではありません。

ただ、

• 感情
• 出来事
• 周囲の反応
• 次の一手

を、同時に扱おうとしないこと。
一度、分けて眺めてみること。

それだけで、
頭の中の混線は、少しずつほどけていきます。

この整理は、
うまくやるためのものではありません。

失敗しないためでも、
成長していると証明するためでもありません。

頭の中が混ざったときに、
整理しようとすればいい。
その選択肢を持っていることが大切なんだと思います。

仕事をしていれば、
失敗も、行き詰まりも、
思い通りにいかない瞬間も、必ずあります。

そのたびに、
正解を探したり、
自分を責めたりしなくていい。

頭の中が混ざるのは、
あなたが一所懸命だから。

混ざったら、
また整理すればいい。
そう思えていることが、大切だと思います。