副業は未来を試すフィールド──会社を辞めるためではなく、自分を広げるために

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① はじめに:かつての副業のイメージ

いまでは「副業」という言葉を聞いても、あまり特別な響きはないかもしれません。
企業が副業を認めるようになり、誰もが気軽に挑戦できるものとして浸透してきました。
けれど、ぼくがコーチングを始めた当初は、今とはまったく違う空気がありました。
その頃の副業は、「いずれ会社を辞めて独立するための準備」と見なされることが多かったのです。
「副業をやっている=会社に不満がある」
「副業を始めた=独立を目指している」
そんなふうに周囲から思われることも珍しくありませんでした。
だからこそ、副業に取り組むことは、今よりずっと“覚悟”や“勇気”が必要な選択だったのです。
ぼく自身もコーチングを始めた当初は「副業」という形からのスタートでした。
そしてその当初から独立して以降もしばらくは、副業に取り組む多くの方の歩みを支援してきました。


② 時代の変化

あれから10年以上の時間が経ち、副業を取り巻く環境は大きく変わりました。
まず、企業そのものが副業を容認するようになったこと。
背景には「終身雇用や経済的な保証をすべて担い続けることは難しい」という現実もあります。
だからこそ、社員には“自分自身で収入やキャリアを広げる力”を期待する企業が増えてきました。
その結果、副業は「本業の妨げ」ではなく、「広い視野と新しい経験・スキルを得る機会」として受け入れられつつあります。
社会全体でも副業のハードルがぐっと下がりました。
クラウドソーシングやオンラインサービスが整い、SNSを通じて自分の活動を発信することも容易になっています。
副業はもはや特別な挑戦ではなく、誰にとっても身近な選択肢になりました。
その背景には大人世代の“副業観”の変化があります。
かつては「副業=独立へのステップ」というイメージが強かったのに対し、今は「収入の複線化」「選択肢を広げる」「自分の可能性を試す」といった、もっとフラットで自然な感覚へと移り変わっています。
副業は「会社を辞めるための準備」ではなく、「自分らしい生き方を形づくる一つの方法」になってきたのです。


③ 象徴的なクライアントさんたちの歩み

副業に関して特に印象的なのは、まだ副業が一般的でなかった頃から、その歩みをコーチングでご一緒してきたクライアントさんたちです。
当時は、副業を始めること自体が今よりずっと“挑戦的”な選択でした。
そうした方々は、自分の興味や強みを活かしながら、会社員としての仕事と並行して活動を積み重ねてきました。
パラレルワークを育ててきた方もいれば、実際に独立を果たした方もいます。
「どちらが正解」ということではなく、自分の生き方や時代の変化に合った道を選び取ってきた姿です。
副業を通じて得たのは、お金だけではありません。
自分の意思で選び、行動してきたという経験そのものが、今のキャリアや生き方に大きな自信を与えているのです。


④ 副業は「自分の力で一歩を選び取る」ための場

年代の若い方たちには少ない価値観だとは思いますが、
副業というと、いまでも「いつか独立するための準備なのでは?」と思われることがあります。
けれど、実際に多くのクライアントさんとご一緒してきた経験から言えるのは──副業は必ずしも独立に結びつける必要はないということです。
こうした取り組みの本質は、収入を増やすことだけではありません。
「自分の意思で選び、動く」という経験そのものが、主体的に生きる力を育てます。
会社の仕事だけでは得られない出会いや視点、責任感に触れることで、ものの見方や行動の選択肢が広がります。
その積み重ねが、自分らしい働き方やキャリアをつくる土台になるのです。
だから副業は、独立を目指す人だけのものではありません。
「自分の力で一歩を選び取る」ための場として、誰にとっても意味のある選択肢なのだと思います。


⑤ まとめ

副業の形やゴールは、ひとりひとりの人生が違うのと同じように人それぞれ違います。
独立を目指す人もいれば、会社員としての仕事と両立しながら副業を続ける人もいる。
どちらが正解ということはなく、大切なのは「自分の意思で選び取る」という姿勢です。
副業を通じて手にするのは、お金やスキルだけではありません。
自分の選択に責任を持ち、自分の人生を主体的に形づくる力です。
それはこれからの時代を生きるうえで、最も確かな土台になるものだと思います。
あなたにとっての副業は──
あなたが選び取った一歩の先に、どんな未来を描いてみたいですか?

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