目次
1. はじめに
先日あるエンジニアのクライアントさんのコーチングセッションの際に 「仕事のキャパがオーバーしてしまって、処理が追いつかないので仕事を効率的に処理する方法について考えたい」というお話をいただきました。
「仕事を断るのは難しい」と感じるビジネスパーソンは多いです。特に経験な方ほど、周囲からの期待が大きく、つい頼まれた仕事を引き受けてしまいがちです。
しかし、すべての仕事を受け入れていると、結果的にパフォーマンスが下がり、ストレスが増え、満足度も低下します。あなたが最高のパフォーマンスを発揮できるように仕事をマネジメントしていくためには、いくつかのテクニックが考えられますが、その一つが「適切に仕事を断る」ことです。
適切な基準を持って仕事を選び、無理なものは断ることで、仕事のクオリティを上げ、効率を向上させることができます。本記事では、ビジネスパーソンが効率と満足度を向上させる、仕事の断り方についてお伝えしていきます。
2. 仕事を断れない理由
ビジネスパーソンが仕事を断ることが難しいのには、いくつかの理由がありますが、それを明確に言語化できている方は少ないかもしれません。 前出のエンジニアのクライアントさんも、おそらくは漠然と「仕事を断るのはいけない事」と感じていらっしゃったように思います。
では、実際にはどんな理由で仕事を断ることが難しいと感じているのでしょうか??
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「断ると評価が下がるのでは?」という不安
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「せっかくのチャンスを逃すのでは?」という恐れ
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「後輩の成長を阻害するかも」という心理的プレッシャー
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「チームのために頑張らなければ」という責任感
これらの要因が重なり、結果的にすべての仕事を引き受けてしまいます。しかし、長期的に見れば、キャパオーバーの状態では良い成果を出し続けることは難しいですし、もしかしたら、ひとつひとつの仕事のクォリティはもうすでに落ちてしまっているかもしれません。
3. 仕事を断るメリット
その一方で、仕事を断ることには、明確なメリットがあります。 どんなことがメリットとして考えられるでしょうか??
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時間と集中力の確保:技術的なスキル向上や専門分野の深化に時間を使える
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仕事のクオリティ向上:適切な量をこなすことで成果が出やすくなる
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ストレスの軽減:無理な仕事を背負わなくなる
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チームの成長促進:後輩に仕事を任せる機会が増える
仕事を選ぶことで、自分の強みを活かしやすくなり、結果的により良い成果を出せるのです。先ほどのクライアントさんもこのような効果が得たいと考えて「仕事を効率的に処理する方法について考えたい」とおっしゃったのだと思います。
4. 仕事を断る基準を持つ
ビジネスパーソンが仕事を断るためには、まず自分なりの基準を明確にする必要があります。
① 自分のキャパシティを基準にする
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「今の仕事量で新しい依頼を受けても、パフォーマンスを維持できるか?」
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→ 無理なら断る(または調整を提案する)
② 仕事の重要度で判断する
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「この仕事は自分の技術力向上やキャリア成長につながるか?」
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→ 価値が低い仕事なら優先度を下げる(もしくは断る)
③ 相手の基準と自分の基準の違いを理解する
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例)あるマネージャーは納期最優先、あるビジネスパーソンは品質最優先
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→ 自分の判断基準を明確にすることで、迷いなく断れる
では、具体的にどのような基準を設定すればよいでしょうか?
基準の例:
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納期:スケジュールが厳しく、短期間での対応が必要かどうか
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品質:成果物の精度やクオリティが重要かどうか
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成長:自分のスキル向上につながる仕事かどうか
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育成:後輩やチームメンバーの成長を促せる仕事かどうか
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技術的な興味:自身の専門分野や関心のある分野と合致するかどうか
上記はあくまで例ですが、あなたが優先したいものを明確にして自分が仕事を受けるかどうかを判断すると、無理なく仕事をマネジメントできるようになります。
5. 実際に仕事を断る際のコツ
① 率直かつ誠実に伝える
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NG例:「無理です」「できません」
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OK例:「今のスケジュールでは難しいですが、○○なら対応可能です」
② 代替案を提示する
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「今月は厳しいですが、来月なら可能です」
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「この部分なら対応できますが、全体は難しいです」
③ チームのリソースを活用する
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「この仕事は○○さんのスキルアップにもつながるので、任せてみてはいかがでしょうか?」
相手の立場を尊重しながら、誠実に伝えることが重要です。
6. 仕事を断ることで得られる未来
仕事を断ることは単に業務負担を軽減するだけでなく、以下のようなスキルと密接に関連しています。
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キャパシティマネジメント:自分の限界を知り、無理なく働くことで持続的に成果を出す
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プライオリティ設定:本当に価値のある仕事に集中することで、成果を最大化する
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Noと言う力:不要な業務を適切に見極め、優先すべき仕事に時間を割く
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タスクの委任:後輩やチームメンバーに適切に仕事を振ることで、全体の効率を上げる
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仕事の仕組み化:定型業務を自動化・効率化し、戦略的な業務に時間を割く
これらのスキルを活用することで、仕事を断ることが単なる拒否ではなく、より効果的な仕事の選択となります。
結果として、次のようなメリットを得られます。
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仕事のバランスを取れるようになり、長期的な成長につながる
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持続的に成果を出し続けることができる
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チームのパフォーマンスが向上し、リーダーとしての信頼が高まる
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後進の育成につながる
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「なんでも引き受ける人」ではなく、「価値を生み出す人」になれる
こうした視点を持つことで、単なる「仕事を断る」行為が、戦略的なキャリア形成の一環となるのです。
7. まとめ
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仕事を断るのは「逃げ」ではなく「選択」です
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断る基準を持つことで、自分の効率と満足度を高められます
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相手にも誠実に対応しながら、より良いチーム環境をつくることができます
実践の第一歩
ここまでの内容を踏まえ、まずは以下のステップを実践してみましょう。
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自分の仕事の基準を紙に書き出してみる(納期・品質・成長・育成など)
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断る際のフレーズを考えておく(「○○なら対応可能です」など)
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一度、自分の仕事を棚卸しし、必要以上に抱え込んでいないかを確認する
こうしたアクションを取り入れることで、無理なく仕事を断りながら、より良い成果を出せるようになります。
ビジネスパーソンとして、仕事を「こなす」のではなく、「マネジメントする」ことが、パフォーマンス向上の鍵になります。ぜひ、自分なりの基準を持ち、仕事を選択していきましょう。