会社を辞めるだけが自由じゃない。選べる自分になるための準備

副業が少しずつ軌道に乗ってきた。
本業もそれなりにうまくいっていて、収入も安定している。
「じゃあ、何も問題ないはずじゃない?」
…頭ではそう思っているのに、ふとした瞬間にモヤモヤする。

このまま、ずっと会社に軸足を置いて生きていくんだろうか。
副業の予定も、本業の合間や夜間に詰め込む日々。
どこかで、「これが本当にやりたいことだったっけ?」という問いがよぎる。

——辞めたいわけじゃない。
でも、「もっと自分らしく働ける形があるんじゃないか」と思い始めている。
副業で感じた“手応え”や“自分の可能性”を、もっと活かせる道はないのだろうか——。

そんな思いを語ってくれたクライアントさんとの対話が、ぼくの中にも響きました。
実はぼく自身も、ただの会社員だった頃から副業としてコーチングを始め、独立、法人化と、段階的に選択肢を広げてきたひとりです。
だからこそ、「会社を辞めるかどうか」ではなく、“どうすれば自分らしく選べる状態でいられるか”という問いには、今でも何度も立ち返っています。

その選択の結果が、副業でも、転職でも、社内の異動でも、今の仕事を続けることでも、どれが正しいかではないと思っています。
大切なのは、それを「自分で選んでいる」と感じられること。

今これを読んでいるあなたが、
自分の人生や、仕事、働き方を「自分らしく選ぶ」ヒントを持ち帰っていただけたら嬉しいです。

1. 「辞める or 辞めない」の二択思考が、自分を縛ってしまう

副業がうまくいきはじめると、ふとした瞬間にこんなことを考える人がいます。

「このまま会社を続けるか、思い切って辞めるか」
「いっそ独立したほうがスッキリするんじゃないか」
「でも、家族のことを考えると…現実的じゃないよな」

実際、こうした話はコーチングの現場でもよく出てきます。
でも、ここで少し立ち止まって考えてみてほしいのです。

「このまま」か「辞めるか」しかないように見えるとき、視野そのものが狭くなっている

自分の中にある違和感や物足りなさ。
それを「辞める or 辞めない」という大きな決断に置き換えると、思考はたしかに動き出しやすくなります。
でも、それが本当に自分の納得感や充実感につながるとは限りません。
結果として、どちらを選んでもなんだかしっくりこない——そんな状態に陥ることもあります。

でも本来、「辞めたいわけじゃない」と思っている自分も確かにいる。
同時に、「このままでいいのかな」と問いかけている自分もいる。
この2つの感覚は、矛盾ではなく“共存”しているものなんです。

選択肢が見えていないのではなく、
“見えない状態”を許せない気持ちが、二択というシンプルな構造に無理やり当てはめてしまう。
そこに気づけると、「選べない」と感じていた状況にも、少し余白が生まれてきます。

決めきれないのではなく、
まだ言語化できていない感覚が、自分の中にあるだけかもしれません。

そして、その感覚は、必ずしも今すぐ言葉にできるようになる必要はないのだと思います。
まだ言葉にならない“違和感”や“もやもや”も、
自分にとって何か大事なことを知らせてくれているのかもしれません。

無理に結論を出そうとするのではなく、

「これは何を教えてくれようとしているんだろう?」

と、そっと問いを置いてみる。

そんなふうに、少し距離をとって感じてみるのも、一つの選択だと思うのです。

2. 副業の充実や手応えが、キャリアの選択肢を広げてくれる

副業が少しずつ形になってきたとき、私たちは数字や成果に注目しがちです。
「年収にどのくらいインパクトがあるか」
「本業と比較して、どれくらい意味があるのか」
そんなふうに、わかりやすい尺度で“価値”を測ろうとしてしまう。

でも、副業の本当の価値は、数字では見えにくい部分にこそあるのではないかと思います。

たとえば——
「自分で考えて、自分で動いて、結果を出した」という手応え。
本業ではなかなか得られなかった、“自分の感覚が通用した”という実感。
あるいは、普段出会わない人たちとのやりとりの中で感じた、新鮮な視点や広がり。

それらはすべて、「選べる自分」を育ててくれる要素です。

副業がうまくいっているからといって、すぐに独立する必要はありません。
むしろ、副業があるからこそ、「辞める/辞めない」以外の選択肢が自分の中に育っていく。
そしてそれが、本業に対するスタンスや関わり方にも、少しずつ変化をもたらしていく。

副業は、“逃げ道”でも“野望”でもなく、
**「自分らしさを確かめられる場」**として活かすことができる。

そう考えると、キャリアの軸が少しずつ“外側”にも育っていく感じがして、
選択肢が増えるだけでなく、「今ここ」にも安心していられるようになるのだと思います。

3. 「選べる自分」をつくる3つの準備

ここまでの話を読んで、
「たしかに…今すぐ辞めたいわけじゃないけど、もっと“選べる状態”になっていたい」
そう感じた方もいるかもしれません。

では、どうすれば“選べる自分”になれるのでしょうか?
これは一気に変えるものではなく、小さな準備の積み重ねで育っていくものだと、ぼくは思っています。

ここでは、そのためのヒントを3つ、ご紹介します。

① スキルと関係性の棚卸しをしてみる

自分には何ができて、どんな人とのつながりがあるのか。
これは、いざというときの選択肢を考えるうえで、土台になる情報です。

でも「強み」や「キャリアの棚卸し」といった言葉を聞くと、
ちょっと構えてしまう人もいるかもしれません。

そんなときは、

「今、自分が周りから求められていることって何だろう?」

「どんな時に“自分らしさ”を感じているだろう?」

そんな問いからゆるく始めても、十分価値があります。

② 社内と社外、両方に“話せる人”を持っておく

選択肢を広げるときに、一人で考えすぎると行き詰まりがちです。
社内の同僚や上司も大事ですが、**利害関係のない“社外の誰か”**との会話が、とても助けになることがあります。

過去にお世話になった上司、副業を通じて出会った人、
あるいはコーチやメンター的な存在。
「話すと、思考が整理される」という感覚をくれる人がいると、選択肢を“実感”として持てるようになっていきます。

③ 「こうありたい」を、ふんわりでも言葉にしておく

キャリアの選択肢を広げるうえで、「こうしたい」よりも大事なのは、
**「こうありたい」**という自分の感覚です。

・誰と、どんな時間を過ごしたいのか
・どんな状態だと、自分らしくいられるのか
・暮らし方、働き方、ペース感…心地よさの基準

こうした感覚は、はっきりと言葉にならなくてもかまいません。
でも、意識のどこかに持っておくことで、「選択肢の中から選ぶ」のではなく、
**「自分の基準で選ぶ」**ことができるようになっていきます。

たくさん準備しなければならないわけではありません。
でも、ちょっとした問いかけや、身近な誰かとの会話がきっかけになって、
“選べる自分”という感覚は少しずつ育っていく。

焦らず、でも見ないふりをしないで。
そんな距離感で、自分と向き合ってみてください。

4. まとめ:「自分で選んでいる」という感覚が、働き方の安心感につながる

「副業がうまくいってきたけど、このままでいいのかな」
「本業も悪くないけど、何か物足りない」
「辞めたいわけじゃない。でも、選択肢が少ない気がする」

そんな声に、これまで何度も出会ってきました。
そして、これらの声に共通していたのは、「どうしたらもっと自分らしく働けるか?」という問いでした。

“会社を辞める”ことが正解ではないし、
“今のまま続ける”ことが間違いでもない。

大切なのは、「自分で選んでいる」と感じられること

副業があること、誰かに話せること、
そして、「こうありたい」とふんわりでも描けること。
それらが少しずつ積み重なって、選択肢が見えてくる。
すると、「今ここ」にいる自分にも、安心できるようになっていきます。

この先も、働き方や人生に“答え”はないかもしれません。
でも、問いを持ち続けていくことはできます。
そしてその問いが、「自分の人生を、自分でつくっている」という感覚につながっていく。

あなたの今ある選択肢が、
これからもゆるやかに広がっていきますように。
会社を辞めるだけが自由じゃない。そんな日常を、自分で選んでいけますように。

仕事を断る勇気はいらない。必要なのは「選べる状態」

「仕事を断るのが苦手で……」

コーチングの現場で、何度も聞いてきた言葉です。

ただ、話を丁寧に聞いていくと、

多くの人が悩んでいるのは

「断れないこと」そのものではないと感じています。

実際に起きているのは、

  • 気づけば仕事が増え続けている

  • 忙しいのに、手応えが残らない

  • 引き受けたあとで、どこか後悔している

といった状態です。


「全部引き受ける」以外の選択肢が、なくなっていく

仕事を断れない人は、

意志が弱いわけでも、甘えているわけでもありません。

多くの場合、

  • 判断の基準が言葉になっていない

  • 自分の役割やキャパシティを見直す余裕がない

  • 「全部引き受ける」以外の選択肢が、

    いつの間にかなくなっている

ただ、それだけです。

だから、

「もっと勇気を出そう」としても、うまくいかない。

必要だったのは、

断る力ではなく、判断できる状態でした。


「断る」のではなく、「自分がやらない仕事」を選ぶ

仕事を断る勇気ではなく、自分がやらない仕事を選べる状態を表したBefore/Afterイラスト
「全部引き受ける」状態から、「自分がやらない仕事を選べる」状態へ

仕事の依頼を受けたとき、

すぐに「やる/やらない」を決める必要はありません。

一度立ち止まって、

こんな問いを持てるかどうか。

  • 今の自分のキャパシティで、質を保てるか

  • これは自分の成長につながる仕事か

  • チーム内で、他に担える人はいないか

  • 自分がやることで、全体が止まることにならないか

こうした判断軸を持つことで、

「断る」という行為は、

だんだん必要なくなっていきます。

代わりに残るのは、

「これは、今の自分がやる仕事ではない」

と静かに判断できる状態です。


伝えるときに大切なのは、言い方よりも前提

判断できるようになると、

次に悩むのは「どう伝えるか」かもしれません。

でも、

うまい断り文句を探す必要はありません。

大切なのは、

  • どんな基準で考えたのか

  • 何を優先しているのか

という前提を共有することです。

「今の自分のキャパシティだと、

これ以上引き受けると質を保てなくなりそうです」

「すでにお受けしている役割があって、

そこにエネルギーを集中したいと考えています」

こうした伝え方は、

相手を説得するためではなく、

判断を共有するための言葉です。


仕事を選べるようになると、何が変わるのか

「自分がやらない仕事」を選べるようになると、

  • 引き受けた仕事に集中できる

  • 中途半端な関わり方が減る

  • 役割がはっきりする

といった変化が、少しずつ起き始めます。

結果として、

仕事から距離を取るのではなく、

仕事との関わり方が、むしろ深くなる

仕事を選ぶとは、

責任を減らすことではありません。

責任の置きどころを、意識的に選び直すことです。


もっと整理して考えたい方へ

このテーマについて、

「仕事をどう断るか」ではなく、

  • なぜ断れなくなるのか

  • 判断軸はどう育てればいいのか

  • 伝えるとき、何を大切にすればいいのか

を、もう少し丁寧にまとめたnoteを書きました。

勇気や根性に頼らず、

仕事を“選べる状態”を育てていくための内容です。

👉

仕事を断る勇気はいらない

── 自分がやらない仕事を、静かに選べるようになるまで

仕事を断るのが苦手だと感じているなら、

「断る方法」ではなく「選べる状態」を整える視点もあります。

👉 noteはこちら(有料・300円)

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