「仕事を断るのが苦手で……」
コーチングの現場で、何度も聞いてきた言葉です。
ただ、話を丁寧に聞いていくと、
多くの人が悩んでいるのは
「断れないこと」そのものではないと感じています。
実際に起きているのは、
気づけば仕事が増え続けている
忙しいのに、手応えが残らない
引き受けたあとで、どこか後悔している
といった状態です。
「全部引き受ける」以外の選択肢が、なくなっていく
仕事を断れない人は、
意志が弱いわけでも、甘えているわけでもありません。
多くの場合、
判断の基準が言葉になっていない
自分の役割やキャパシティを見直す余裕がない
「全部引き受ける」以外の選択肢が、
いつの間にかなくなっている
ただ、それだけです。
だから、
「もっと勇気を出そう」としても、うまくいかない。
必要だったのは、
断る力ではなく、判断できる状態でした。
「断る」のではなく、「自分がやらない仕事」を選ぶ

仕事の依頼を受けたとき、
すぐに「やる/やらない」を決める必要はありません。
一度立ち止まって、
こんな問いを持てるかどうか。
今の自分のキャパシティで、質を保てるか
これは自分の成長につながる仕事か
チーム内で、他に担える人はいないか
自分がやることで、全体が止まることにならないか
こうした判断軸を持つことで、
「断る」という行為は、
だんだん必要なくなっていきます。
代わりに残るのは、
「これは、今の自分がやる仕事ではない」
と静かに判断できる状態です。
伝えるときに大切なのは、言い方よりも前提
判断できるようになると、
次に悩むのは「どう伝えるか」かもしれません。
でも、
うまい断り文句を探す必要はありません。
大切なのは、
どんな基準で考えたのか
何を優先しているのか
という前提を共有することです。
「今の自分のキャパシティだと、
これ以上引き受けると質を保てなくなりそうです」
「すでにお受けしている役割があって、
そこにエネルギーを集中したいと考えています」
こうした伝え方は、
相手を説得するためではなく、
判断を共有するための言葉です。
仕事を選べるようになると、何が変わるのか
「自分がやらない仕事」を選べるようになると、
引き受けた仕事に集中できる
中途半端な関わり方が減る
役割がはっきりする
といった変化が、少しずつ起き始めます。
結果として、
仕事から距離を取るのではなく、
仕事との関わり方が、むしろ深くなる。
仕事を選ぶとは、
責任を減らすことではありません。
責任の置きどころを、意識的に選び直すことです。
もっと整理して考えたい方へ
このテーマについて、
「仕事をどう断るか」ではなく、
なぜ断れなくなるのか
判断軸はどう育てればいいのか
伝えるとき、何を大切にすればいいのか
を、もう少し丁寧にまとめたnoteを書きました。
勇気や根性に頼らず、
仕事を“選べる状態”を育てていくための内容です。
👉
仕事を断るのが苦手だと感じているなら、
「断る方法」ではなく「選べる状態」を整える視点もあります。
